開業後5年

2016年から2017年にかけて開業準備のblogを書き、開業したところでいったん筆を止めました。開業準備について興味を持たれている医師は多いと思いますが、開業したその先についてblogを書いていこうと思います。

まず、この5年を振り返り年度ごとに起きた出来事を羅列していきます。

<2017年4月-2018年3月>

・開業時に看護師は採用できませんでした。継承開業のためもともといた看護師に頼み込み、新しい看護師を採用するまでいてもらいました。2017年7月に1人看護師を採用できました。このあと看護師1人体制でやることになりました。

・平均患者数20.7人/日

・借入金2000万円。これを7年で返済するというローンでしたが、開業後半年間は利息返済のみで元金返済は待ってもらいました。しかし2017年度収支は赤字。

 

<2018年4月-2019年3月>

・赤字収支のためまずは黒字転換を目標としました。私自身は内科ですが、継承元の診療所は小児科であったため小児の割合が多い診療所でした。勤務医の先生で診療報酬の体系がどのようになっているか知っている先生は少ないと思います。私は当然知りませんでした。基本小児科診療報酬は増やすことができないため、患者数依存の経営となってしまいます。徐々に小児科から内科へ診療所内容を転換していくことが必要でした。

・業務用エアコンが5台あったのですが3台が同時に故障。古い型であり部品の製造中止。修理不可。買い替え。さらに大型の2台のエアコンはまだ動いていましたがこれも時間の問題のため買い替え。小型3台100万円。大型2台300万円。

・医療機器購入70万円。電話機購入80万円(無理やりリース、今でも恨みに思っています)。

・冬場に診療所正面の道路に路駐した患者が駐車違反の切符をきられました。確かに違反かもしれませんが、警察に抗議し、地域医師会にも問い合わせましたが、結論からは泣き寝入り(今でも恨みに思っています)。職員用、患者用の駐車場を賃貸することに。

・平均患者数33.8人/日

・2018年度からは借入金返済は元金部分も含まれてくるため、月々の返済金額も増えます。25万/月の支払いです。2018年度収支は黒字転換しました。

 

<2019年4月-2020年3月>

・看護師、事務が相次いで離職。特に看護師1人体制のため、1人→0人は業務遂行では致命的。業務内容自体は医師1人でもできないことはないが、大幅に勤務時間が延長されさらなる離職が予想されます。このため看護師2名体制に。看護師2名採用、事務1人採用。

・医療機器購入。230万円。このときに医療機器の価格などあってないものだと感じました。ほとんどぼったくりです。

・インフルエンザシーズンの電話問合せが常軌を逸するレベルに。またこれまで早いもの勝ちで来た順で予防接種を行っていましたが、定期通院患者に打てない事態が発生しました。インフルエンザ予約システムを従来の電話対応からオンライン予約へ移行する必要性がありました。

・平均患者数33.2人/日

・2019年度収支も黒字。

 

<2020年4月-2021年3月>

・2019年度に採用した看護師1名、事務1名が離職。この年からコロナ感染症が流行しました。理由はおそらく「コロナ恐怖」。積極的にコロナ診療を行うと職員の離職が加速することが予想されました。コロナ禍での医療機関職員採用は困難が予想されました。コロナ禍がいつまで続くかわかりませんが、職員はすぐに離職すると考え職員採用をすぐに行える準備が必要と考えられました。

・これまではハローワークしか職員募集に利用してきませんでしたが、背に腹は代えられないため人材紹介会社を使用しました。紹介料30万円。

・コロナ感染症対策に、マスク、ガウン、グローブ、シューズカバー、シャワーキャップ、赤外線体温計、発熱者待合用テント、(遠隔で会話する)トランシーバー…他。150万円。医療機関補助金100万円。

・コロナ受診控え。「不要不急の医療しているから受診数減るのだ」。これはいまだに怒りを覚えています。近隣者数が増えてきたことで何とか踏みとどまりました。

・今後「不要不急の医療はしない」これを肝に銘じることとしました。

・医療機器購入30万円。

・インフルエンザ予防接種のオンライン予約導入。3万円/月。

・平均患者数31.4人/日

・2020年度収支は赤字。2020年度に補助金は支払われず(申請してから半年後に補助金は支給)、補助金含めればトントンの収支。

 

<2021年4月->

・2021年11月まで平均患者数29.4人/日

・2021年収支は大幅黒字。

 

テーマを分類すると、<法人収支(個人収入)><職員募集><医療機器購入><行政との折衝>になるかと思います。次回以降はこれまでに起きた出来事にスポットをあてていきたいと思います。