開業時のトラブル2

開業時トラブルは色々あるのですが、開業を考えている医師が気にするのはやはり収支ではないでしょうか?

収入を求めるならば、経営者センスのある人であれば自由診療が良いと思います。よく紹介される年収1億以上となれば、個人経営のクリニックで保険診療では難しいと思います。

私は最後の勤務先で戦力外通告を受け、勤務医をやめることになりました。睡眠不足や夜間呼び出しに肉体的に耐えられるなら勤務医を続けたいと考えていました。

基本医師の訓練しか受けていないため、経営センスなどあるはずもありません。また金銭的な目的で開業したわけでもないため、勤務医の平均年収しか望んでいません。

保険診療」「小児科、内科」「外来」という何の特徴もないクリニックとして開業を開始しました。

2021年の今だから言えることですが、私が助かったのは「継承開業」だったからです。「新規開業」で何の特徴もない開業ではまず助かりません。

開業年度の平均患者数は20.7人/日。さらに継承元が小児科であったため、小児患者9、成人患者1の割合でした。小児科は診療報酬体系では点数を増やせません(検査を入れれば可能ですが、小児の検査は非常に大変)。この年度の単価は400点/人。

計算すればわかることですが、収入は20.7×400×10×20=1656000円/月。支出は家賃+人件費+光熱費・電話代等+医療物品代+電カルリース代+電カル使用料+(借入金返済)+自分の給与=220万円/月。借入金返済が加わると250万円/月となります。開業年度は借入金返済は半年間猶予がありました。

借入金返済が始まっていないのにすでに月次赤字です。さらにこれに加え医師会費が馬鹿になりません。年間40万円!。ブラックカードの年会費と遜色ありません。

月々-50万円、借入金返済始まれば-80万円。いくらなんでもこのままなら倒産確実です。

くれぐれも開業コンサルの口車に乗らないように。何の特徴もないクリニックならこの程度が現実です。